取締役の競業避止義務について

取締役が競業取引をすれば会社は損害を被る

ペットフードを販売するA社の取締役Xは、週末の時間を使って、インターネットによるペットフードの通信販売事業を立ち上げることにしました。

Xは、早速、A社の顧客リストをコピーして自宅に持ち帰り、自宅のパソコンからA社の顧客に電子メールを送り、営業活動を開始しました。

 

Xのインターネットによる通信販売は、A社が販売する商品よりも低価格であったため、着実に売上を伸ばしましたが、その分、A社の売上げは急速に落ち込んでしまいました。

 

この例のように、取締役が、その会社と同じ種類の事業を行うことを「競業(取引)」といいます。

取締役は、会社経営を担っていますから、その会社が持っている重要なノウハウや機密情報を知る機会も多いはずです。

取締役が、会社経営で知ったこれらのノウハウや機密情報を利用して競業取引をすれば、その会社の得意先や顧客を奪うことも決して難しいことではありません。

そうなれば、会社は、取締役の競業取引によって、大変な損害を被ることになるでしょう。

 

取締役には競業避止義務がある

会社の株主から、その会社の経営を任されている取締役が、会社の利益を犠牲にして、自分の利益のために競業取引をすることは、会社と取締役との委任契約に違反するおそれがあります。

 

そこで、取締役は、取締役会(取締役会を置いていない会社では株主総会)の承認を受けることなく、自分または自分の親類や自分が取締役を務める他の会社のために、会社と同種の事業を行ってはならないという「競業避止義務」を負っているのです。

 

なお、競業取引をしようとする取締役は、取締役会(または株主総会)の承認を受ける際に、取引の相手、価格といった取引に関する重要な事実を開示しなければなりません。

 

また、取締役は、競業取引をした後も、取引の内容について、取締役会に報告しなければなりません。

 

会社が被った損害を賠償しなければならない

もし、取締役が前記の取締役会(または株主総会)の承認を受けないで競業取引を行い、その結果、会社に損害が生じた場合、その取締役は、任務を怠ったものとして、会社に対して損害を賠償する責任を負います。

 

この場合、その取締役が競業取引によって得た利益の額が、会社が被った損害の額と推定されます。

 

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