株式交換・株式移転の仕組みについて

他社の株式を保有し支配する持株会社

持株会社とは、他の会社の株式を保有することによって、その会社を支配することを目的とする会社のことです。

野村ホールディングス(傘下に野村證券など)、セブン&アイ・ホールディングス(傘下にイトーヨーカ堂など)等、商号に「〇〇ホールディングス」とついている会社は、持株会社です。

 

グループ全体を管理する純粋持株会社

持株会社の中には、具体的な事業をしない純粋持株会社と呼ばれる会社も少なくありません。

支配下にある事業会社グループ全体の経営を管理するのが、純粋持株会社の仕事なのです。

 

純粋持株会社は、言うなれば、企業グループの頭脳です。

企業グループ全体の中で、頭脳の部分を各事業会社の親会社として独立させることによって、迅速で機動的な経営戦略を構築し、グループ全体を見据えた経営リスク管理が可能になるのです。

 

完全親子会社の関係をつくる

持株会社が構築した経営戦略を機動的に実現していくためには、その傘下にある事業会社を完全に支配することが必要です。

つまり、持株会社の多くは、他の会社の株式の100%を所有することによって、つまり少数株主が1人もいない状態にして、その会社を完全に支配するのです。

 

他の会社の議決権の過半数、つまり50%超の株式を所有する会社を親会社と言いますが、持株会社は、他の会社の100%を所有するため、完全親会社と呼ばれます。

 

完全親会社になるためには、他の会社の株式を全部買い取ってしまえば良いわけですが、現実にはそれほど簡単なことではありません。

 

特に上場会社の場合、市場で買い集めようとすれば莫大なコストがかかりますし、数多い株主の全員が、持ち株を売ってくれるとは限らないからです。

そこで、株主総会の多数決によって、完全親子会社関係をつくることができる法制度が必要となります。

そのための制度が、これから説明する株式交換株式移転なのです。

 

株式交換で完全親子会社関係になる

平成14年にソニーは、エレクトロニクス事業にアイワ・ブランドを活用するため、株式交換によって、アイワを完全子会社化しました(後に、ソニーはアイワを吸収合併しています)。

そこで、ソニーとアイワの株式交換を例にとって、説明します。

 

まず、アイワの株主が、その持ち株の全部をソニーに移転します。

それと同時に、アイワの株主は、ソニーが発行する株式を取得することによって、アイワとソニーは、完全親子会社関係になのです。

 

このように、株式交換は、M&Aや企業グループ間の再編のために、広く活用されています。

 

株式交換のおおまかな手続

まず、完全親会社となる会社と完全子会社となる会社との間で株式交換契約を締結します。

次に、原則として、株式交換契約について株主総会の特別決議(3分の2以上の多数で可決されます)によって、株主の承認を得なければなりません。

また、株式交換に反対する株主は、会社に対して持ち株を買い取るように請求することができます。

 

株式移転により完全親会社をつくる

株式移転とは、ある会社(B社)が新たに会社(A社)を設立し、B社の全ての株式をA社に移転することによって、A社が完全親会社、B社が完全子会社になることです。

完全子会社となるB社の株主は、株式移転によってA社が発行する株式の割り当てを受けるので、今度は、完全親会社A社の株主になるのです。

 

平成17年にイトーヨーカ堂、セブンイレブン・デニースの3社が株式移転によって、持株会社セブン&アイ・ホールディングスを設立しました。

 

このように、株式移転は、特に持株会社として完全親会社を設立するために利用されます。

 

株式移転のおおまかな手続

株式交換と同様、株式移転についても、株主総会の特別決議(3分の2以上の多数決)で株主の承認を得なければなりません。

また、株式移転に反対する株主は、会社に対して持ち株を買い取るように請求することができます。

 

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