合併はどのように行われるのか

吸収合併と新設合併の2種類がある

合併とは、2つ以上の会社が契約によって、1つの会社に合体することです。

A社とB社が合併するパターンには、

①A社がB社を吸収して、B社が解散・消滅する吸収合併

②A社もB社も解散・消滅して、C社という新会社が設立される新設合併

とがあります。

 

吸収合併では、存続するA社が、消滅するB社の財産も負債も権利も義務もまるごと引き継ぎます。

新設合併では、新会社C社が、A社とB社の財産も負債も権利も義務も丸ごと引き継ぐのです。

 

現実に行われる合併のほとんどは、吸収合併です。

平成18年1月に三菱東京フィナンシャル・グループとUFJホールディングスが合併して、三菱UFJフィナンシャル・グループが誕生しましたが、これも三菱東京フィナンシャル・グループを存続会社、UFJホールディングスを消滅会社とする吸収合併です。

 

これは、新設会社では、現存していた会社はいずれも消滅してしまうため、それと同時に、その会社が持っていた銀行業の免許など営業上の許認可や免許も全て消滅してしまうからです。

 

この点、吸収合併であれば、既に銀行業の免許を持っている三菱東京フィナンシャル・グループが存続するわけですから、新たに銀行業の免許を取り直す必要がないのです。

 

吸収合併のおおまかな手続

それでは、A社がB社を吸収合併する場合を例にとって、合併のおおまかな手続を説明します。

まず、A社とB社の間で合併契約を締結します。

次に、A社もB社も、原則として、株主総会の特別決議(3分の2以上の賛成で可決されます)により、合併契約の承認を受けます。

また、A社でもB社でも、合併に反対する株主は、会社に対して、自分の持っている株式を買い取るように請求することができます。

合併によって、A社は、B社の財産も負債も丸ごと引き継ぐことになります。

 

そのため、債権者としては、特にB社が多額の借金を負っていた場合には、合併後も、これまでどおり、A社が支払ってくれるのか不安になります。

そこで、債権者を保護する手続が必要になります。

 

具体的には、株主総会で合併の承認を受けた会社は、合併に関する情報を債権者に公告し、合併に異議を述べた債権者に対しては、その債務を支払わなければならないのです。

 

こうした手続を経て、合併期日に、B社の財産も負債も権利も義務もまるごとA社に引き継がれ、その対価としてB社の株主には、合併比率に応じて、A社の株式が割り当てられるのです。

 

手続の簡単な簡易合併もある

合併のような組織再編は、会社のオーナーである株主の利害に大きく関わるため、原則として、株主総会の特別決議が必要とされています。

しかし、巨大企業が、ごく小さな会社を吸収合併するような場合でも、必ず株主総会の特別決議によって、株主の承認を受けなければならないというのでは、いかにも不経済です。

 

そこで、合併の対価として、吸収するほうの会社(C社)から吸収されるほうの会社(D社)に支払われる合計額が、吸収するほうの会社(C社)の純資産額(「総資産額-総負債額」のことです)の20%以下であれば、吸収するほうの会社(C社)では、株主総会の承認を受ける必要はありません。

 

また、ある会社(F社)の90%以上の議決権を持っている会社(E社)が、その会社(F社)を吸収合併するような場合には、吸収される方の会社(F社)では、株主総会の決議は必要ありません。

 

これは、吸収される会社(F社)の圧倒的な大株主が、ほかでもない吸収しようとする会社(E社)なわけですから、株主総会を開催しても、承認されるに決まっているため、株主総会の決議をすること自体が無意味だからです。

 

こうした簡易略式の手続は、吸収合併だけでなく、事業譲渡、会社分割、株式交換にも当てはまります。

 

吸収合併の対価はキャッシュでも可能になる

会社法では、吸収合併における合併の対価が柔軟になり、存続する会社(A社)の株式以外の財産、例えば、キャッシュでも、存続会社の親会社の株式でも良いということになりました。

そのため、A社としては、吸収されて消滅する会社(B社)の株主に、A社の株式ではなく、キャッシュを支払うことで、消滅するB社の株主を全て追い出すことができるのです。

このような合併の手法を、キャッシュ・アウト・マージャーといいます。

 

また、存続する会社(A社)の親会社(X社)の株式を対価として合併をする場合、消滅するB社の株主は、X社の株主になります。

 

このように、存続会社の親会社の株式を対価とする合併のことを、三角合併と呼びます。

A社とB社のほかに、A社の親会社であるX社の3社が関係するからです。

 

A社が外資系企業、つまり、A社の親会社であるX社が外国の大企業であった場合、この三角合併の方法を使えば、外国の大企業X社は、キャッシュを用意しなくても、わが国の企業B社を買収することが可能になるのです。

 

何故なら、欧米の大企業の中には、その株式時価総額が、わが国の大企業の時価総額の数倍から数十倍にも及ぶ企業が少なくないからです。

 

例えば、平成17年4月時点における、日立製作所の株式時価総額は米国の電機大手ゼネラル・エレクトリック社の約20分の1、新日本石油の株式時価総額は米国石油メジャーであるエクソン・モービルの30分の1に過ぎないのです。

 

このような状況下で、吸収合併の対価を親会社である外国企業の株式でも良いということにすれば、わが国の大企業は、これら外国企業の日本における子会社に買収されてしまうかもしれないというわけです。

(ただし、吸収合併の場合、原則として、吸収される会社の株主総会で特別決議による賛成を得る必要がありますから、わが国の大企業が、そう簡単に外国の企業に買収されるというリスクは、現実には相当低いものと思われます)

 

そのため、政治的配慮により、吸収合併における対価の柔軟化の規定だけは、平成19年5月から施行されています。

 

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