敵対的買収と様々な防衛策

現経営陣と敵対した買収

平成17年のライブドアとフジテレビの一件以来、「敵対的買収」という言葉をよく耳にするようになりましたが、敵対的買収とは何でしょうか。一体、誰が、誰に買収するというのでしょうか。

 

敵対的買収とは、例えば、A社がB社を買収しようとする場合に、B社の経営陣の同意を得ないで、買収を仕掛けることをいいます。

 

このように、敵対的買収とは、買収しようとする会社の現経営陣に敵対して(同意を得ないで)、買収することなのです。

必ずしも、買収しようとする会社のオーナーである株主と、敵対しているわけではありません。

最近、上場会社が、どのような敵対的買収防衛策を導入したかが話題になっていますが、この点を頭に入れておきましょう。

 

企業が他社を買収する目的は様々です。

事業の多角化や競争力の強化といった事業戦略上の目的もあれば、会社を買収し、その価値を高め、株価を上昇させた後、売却することで利益を得るためという場合もあるでしょう。

 

いずれにせよ、その企業が持っている価値に比べて割高な会社を買収する旨みは少ないでしょうから、一言でいえば、割安な企業、つまり株価の低い企業が買収の対象として目をつけられがちです。

また、現預金を必要以上に貯めこんでいる会社や機関投資家、個人株主、外国人株主など、利益が出れば簡単にその会社の株を手放してしまうような株主の比率の高い会社も狙われます。

 

予防策としてのポイズンピル

敵対的買収を仕掛けられる前の予防策としては、ポイズンピルがあります。

ポイズンピルとは、買収者が現れる前に、既存の株主に対して、時価よりも安い価格で、その会社の株式を購入できる権利(ライツ)を与えておくことをいいます。

ポイズンピルとは、「毒薬」のことですから、こうした予防策は毒薬条項あるいはライツプランなどと呼ばれています。

敵対的買収者が現れ、発行済み株式数の一定比率を買い占めた場合に、この毒薬が効いてくるのです。

買い占められた時点で、買収者以外の株主は、株式市場で取引されている価格よりもはるかに安い価格で、その会社の株式を買うことができるので、会社の発行済み株式数がどんどん増えていきます。

それに反比例して、買収者の買い占め比率が下がります。

買収者は、だんだん、その会社の株式を買い進める意欲がなくなってくるというわけです。

 

それでは、実際に、ポイズンピルを仕込むには、どのようにすれば良いのでしょうか。

会社法では、一定の条件で、会社が、新株予約権を持っている人から、強制的に新株予約権を取得して、その代わりに、その会社の株式を渡すことができる取得条項付新株予約権を取締役会の決議で発行することが認められました。

この取得条項付新株予約権を使って、ポイズンピルを仕込むことができるのです。

 

まず、買収を仕掛けられる前に、既存の株主に対して、新株予約権と交換に強制的にその会社の株式を渡すことのできる、取得条項付新株予約権を発行しておきます。

取得条件は、例えば、買収者が、その会社の発行済み株式総数の20%以上を買い占めたときなどとしておくのです。

いざ、買収者が現れた時に、買収者以外の取得条項付新株予約権を持っている株主に対して、強制的に株式を渡し、発行済み株式総数を増やすことで、買収者の買い占め比率を低下させてしまうのです。

 

ホワイトナイトなどの対抗策

敵対的買収を仕掛けられた後の対抗策としては、まず、友好的な投資家(これをホワイトナイトと呼びます)に対して、新株や新株予約権を割り当てるといった方法が考えられます。

ただし、買収を仕掛けられた後に、急遽、こうした策をとることは、法的リスクという点から、あまりお奨めできません。

 

平成17年にライブドアがニッポン放送株を買い占めたときに、ニッポン放送がフジテレビに対して、急遽、新株予約権を割り当てようとしたのですが、裁判所に差し止められてしまいました。

 

また、敵対的買収者が現れたら、株主への配当を増やすことによって株価を上げ、買収コストを吊り上げて、買収を断念させるという方法もあります。

米国の投資ファンドに買収を仕掛けられたユシロ化学工業とソトーは、増配によって株価を上げることで、敵対的買収の危機を切り抜けました。

 

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